外傷診療施設評価委員会

日本外傷学会 外傷診療施設機能評価制度

2023年8月15日
外傷診療施設評価委員会

本制度の背景

 我が国の外傷診療における外傷センター構築の是非については長らく議論されてきたが、未だその目処は立っていない。日本外傷データバンク(JTDB)での年次報告では、Ps≧0.5の死亡症例は、全死亡の約30%程度であり、依然として満足のいく結果とは言いがたい。外傷センター構想は引き続き議論が必要であるとして、別の角度から我が国の外傷診療レベルの向上を目指す必要がある。

本制度の目的

 日本外傷学会 外傷診療施設評価委員会では、我が国全体の外傷診療施設のレベル向上を目指して、外傷専門診療ガイドラインJETECを基に外傷診療施設として達成すべき項目を明示することとした。さらに、この明示した達成項目を基にした外傷診療施設の機能評価を行うべく、一定の基準を満たす診療体制を持つ医療機関を認定する「外傷診療施設機能評価制度」を構築した。外傷診療施設機能評価制度は、我が国の外傷診療レベルの底上げを目的としており、本制度の稼動とともに年々外傷診療の充実した体制が整備されていくことが期待される。

本制度の概要

 本制度は、①外傷診療体制の評価、②JTDB等における外傷診療の質の評価、③外傷診療における地域貢献の評価、④自己評価の実施状況評価、の4つの大項目をあげ、それぞれの項目を点数化して評価することとした。この中でも各4大項目はそれぞれ均等に満たすことを必要とし、必ず満たすべき項目として「必須項目」を設定した。これらの必須項目をすべて達成している施設はS評価、これよりさらに他の項目点数を加算して一定の水準に達した施設はSS評価、SSS評価と3段階で評価することとした。
外傷学の学術団体である日本外傷学会が我が国の外傷診療施設に求められる項目を明示したのは初めてであり、各医療機関が目指すべき到達目標が明確化されることは大きな意義がある。満たす度合いに応じて適正に外傷診療を実施できる施設であることを学会が認定することで、各医療機関の外傷診療体制整備におけるモチベーションの向上も期待される。また、評価項目や点数は毎年見直しを実施し、「必須項目」の増加や評価基準を毎年徐々に上昇させることにより、2024年レベルを基準として2034年には我が国の外傷診療施設の申請点数を基準の20~25%程度底上げすることを目標としている。本制度による各医療機関の自己評価結果を基に、各医療機関が達成できていない項目を認識し、これをクリアするよう体制整備が促進されることが期待される。

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